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シルクロード   の旅
第5日(7月12日)
 ヘイレイ寺石窟観光  蘭州泊


 本日は船でしか行くことができない、大きな磨崖仏で有名なへい霊寺観光。6:00に起きる。晴れているが、町の見通しは良くない。確かにここの空気は良くない。蘭州の子供は太陽がはっきり見えないので、太陽が丸いか三角か知らないというオーバーな話もあるという。8:10ホテル発 8:23黄河渡る。このあたりではまだ川幅200m程度とのこと。でも黄色い水がかなりのスピードで流れている。黄河に架かるもっとも上流の橋であったことから黄河第一橋といわれる中山橋も見えるが、通行止めて補修中で、シートに覆われている。黄河は長さ5467km河口の幅は17〜18kmにもなる大河であること。流れる黄色の土砂は河南省辺りで沈み、その厚さは年間9〜12cmあり毎年川が高くなりすでに天井川になっている。10年前の1995年にはこの5467kmの河に架かる橋は50橋であった。(現在はもっと多い。)等の説明がある。大きな化学工場見える。蘭州には石油化学の工場が多くこれらの工場群で働く人は8万人もいること。原油は遠く青海省、ハミ、タクラマカン砂漠から来ているとのこと。郊外に出ると段段畑と僅かに草の生えた荒地の続く中に村がある。よく晴れて太陽ーーこのあたりでは太陽はっきりとし、陽光強いーーの照りつける暑さの中、急斜面の荒地に人が見える。植林中。鍬で穴を掘り一本一本手植えしている。急斜面を木を植える場所まで、鍬と苗の入った大きな袋を持って行くことがすでに重労働である。毛沢東の時代に国民総動員で耕地を作ったが、耕地化が進み過ぎて保水性が低下して問題がでてきたので一部植林をはじめたとのこと。黄土高原といわれるところは面積70万平方km(=日本の総面積の2倍近い)もあり、そこで生活している人は約2億人というとてつもない規模。長い長い時間をかけて耕地化したものを一部とはいえ植林により緑地化しようという大事業、自然荒廃との競争!間に合うことを祈る。途中、馬や羊の放牧、小麦やジャガイモ、少し奥にはトウモロコシの畑も見える。そんな風景の中を1時間以上走り、9:45バスは劉家峡ダムに到着。劉家峡ダムは黄河の本流を堰き止めたダムで、高さ147m、幅840mもある。完成した70年代には中国第1の水力発電所であり、今でもその規模は中国有数の大きさだという。水は黄色ではなく、青いがかなり少なくなっていて、堰の上から見ると20m以上下に水面がある。その水面に大きな船が何艘も見える。ダム湖から行く村に人や車を運ぶフェリーもあるとのこと。へい霊寺へは途中水深の浅いところ(土砂の堆積したところ)があるため現在は小さいスピードボートだけが運航中でその乗り場はダム堰の中央部である。長さ800mの堰提中央部までバスで行く。そこからジグザグの階段を下りて浮き桟橋から20人?乗りのスピードボートに乗る。
ダム湖からの風景

 座席の間隔狭くヒザが前の座席に当たる。10:05ボート出発。ダム湖で一人乗り(シングルスカル?)ボートの練習している。途中遠く山の麓に森が見える。ガイドの李さんに人が住んでいるのか尋ねると”中国はどこにでも人が住んでいますね。”という答え。ダム湖からポンプで水を汲み上げ山のむこうにパイプで送水している設備何ヶ所も見える。これが灌漑に使われているのだろう。出発から25分ほどすると岸辺の道を自転車や農耕車(スピードからそう思う。)で通行しているのが見える。やがて(11:35ごろ)水が茶色に濁っているところに差し掛かる。4〜5艘のスピードボートが漂っている。われらのボートもスピードおとし徐行。通過できるルートを探しているようだ。中の1艘がエンジンをふかして進んで見るが(浅瀬に引っかかり)止まってしまう。われらのボートも一度トライしてみるが、船底があたってしまって進まない。スクリューのうしろに黄土そのものという感じの泥水が湧いている。ボートの操縦者、外に出て他のボートの操縦者と話あっているがお互い首を横に振っている。どうもルート見つからないようだ。無理してつっこむと座礁してしまい身動きできなくなる。昨日この船は身動きできなくなり”脱出に3時間を要したそうです。”と添乗のMさんどこからか聞いてきて教えてくれる。チェック→トライ→引っかかってストップ→エンジン切って漂流。といこと何回か繰り返す。4〜5艘が6〜7艘に増えているがどのボートも同じようなこと繰り返している。40分近く経った頃1艘が何とか抜ける。かなり岸に近いところから川の中央にむかって斜めに進むルートがあるようだ。われらのボートもすぐにそちらにむかう。かなり岸に近いところから45度くらいの角度で斜めに進む。11:20過ぎ難所を通過!自然発生的に拍手起こる。浅瀬を通過してすぐに湖から川という感じになる。水の色も茶色になる。水面の幅が広くなったところで水流のスピードが落ち、泥が堆積しているのだろう。両岸がせまり山が険しくなってくる。そんな山にヤギがみえる。こんなところにも近くに人が住んでいるのであろう。やがて”おぉう”という声があがる。右手に奇峰が連なっている。すごい景色だ。すごい撮影機材を持ったFさんボートの後ろ立ちこの景色をばっちりビデオに収めている。この風景はビデオの映像の方がずっと迫力があっていいだろう。わたしの技術の問題もあるだろうが(おおいにそうだとカメラマニアの声が聞こえるがーーー)カメラには収めきれない大きさの景色だ。その大きな奇峰の続きのところを黄河は大きく左に蛇行すると間もなく右に船着場が見える。
  
へい霊寺近くの奇峰(1)
へい霊寺近くの奇峰(2)
へい霊寺大摩崖仏
11:40へい霊寺に到着。本によっては”このあたりの黄河の水は澄んでいる”と書いてあるが、われらが訪れたこの日のここは茶色い水でまさしく黄河であった。このあたりは海抜2000mとのことだが日差しは強く暑い。へい霊寺石窟は劉家峡ダムの54km上流にある。へい霊(ビンリン)は千仏、十万仏を意味するチベット語である。甘粛三大石窟(麦積、莫高、へい霊)のひとつで石彫りが有名。黄河北岸の切り立った崖に長さ2km、上下4層にわたって掘られた石窟は183ヶ所あり、西秦〜清にかけてつくられたものである。その2/3は唐代のものである。3〜41窟 殆どが唐代につくられたもの。当時の髪型・服装・装飾品を身につけている。唐の時代には太った女性の方が美しいとされていたので仏像にもその影響がでている。171窟 へい霊寺といえばここの写真が出てくる高さ27mの大摩崖仏。上半身は石、下半身は土でつくられている。この大摩崖仏は離れたところからでないと全体に対峙できないのでここの前に橋があり対岸に渡って鑑賞することになる。この橋の上が記念撮影のポイントで殆どの人がここで撮影している。この大摩崖仏の上部につくられた169窟には「西秦建弘元年(420年)」の題記が残されており、これは中国の石窟で最も古い題記であるとのこと。ここには大摩崖仏の横のジグザグの急な階段をのぼっていくことができるが、300元の別料金が必要である。ガイドの李さん”希望者いれば案内します。”というが階段は急でかなり怖い。先日は途中で引き返した人もいますよ。と言う。結局希望者少なく(小生好奇心旺盛、バカ(ばかとけむりは高いところに行く)の両要素を持っているので手を挙げた一人)見学止める。それにしても300元はこの国の物価を考えると高い!外国人価格か? 橋を渡ったところのお寺には石窟から移動したという涅槃仏があった。これは結構キンキラキンであった。このあたりから見る姉妹峰と名づけられた奇峰もきれいである。船着き場に近いところには土産ものも売っており、子供が小さい石や彫り物を持って商売しているが相手しないでカメラに収めきれない景色を繰り返し眺める。対岸の麦か牧草かのみどりが黄河と岩山の茶色系統の色によく映える。13:15へい霊寺発。浅瀬のところ徐行しながら10分ほどで通過。朝ここで引き返したボートが2艘あったとのこと。われらの幸運に感謝!途中遠くにフェリーが着岸しているのが見える。桟橋から奥の方に道路が見える。きっとあの奥のここからは見えないところにも村があるのだろう。
  14:15浮き桟橋に到着。上までのぼるのに息があがる。14:25ダムの近く(永靖県)のレストランで昼食。ここのビールは”金黄河”アルコール3.6%、10元よく冷やしてある。14人全員がワンテーブルでいただく。料理13品+パンとご飯、という豪華なもの。ここの味付けは四川風でカラシがきいているものが多かった。中でも挽肉と野菜のきざんだものを入れたスープ風の一品は辛かった!少しオーバーに言うとラー油の中に野菜や肉を入れたという感じ。ビールを飲んでも、ご飯でうすめてもダメ!口のまわりがひりひりするほどであった。李さんは大好物と言っていたのでそう特別なものではないようだ。しかし、本場の辛いものはやはりすごい、であろうことが想像できた。15:45レストラン発。朝来た道路を蘭州に帰る。道路沿いにも木が植えてあるが、枯れているものもある。木は柳や桧とのこと。蘭州市内の黄河には船を固定した川の上の大酒店がいくつか見られる。
  17:15ホテル着。17:30〜地図を買いに出かける。ホテルの近くの本屋を教えてもらいでかける。信号のあるところを渡れば蘭州の道路はそんなに怖くない。出かける時に明石から参加のTさんのアドバイスでホテルのカードを持って出る。これを持っていればもし道に迷ってもタクシーが利用できる。本屋では地図の置き場はすぐにわかったが省別の地図が50cmぐらい積んである。それを上から順に見ていく。このツアーで訪ねるせん西省、と新疆ウイグル自治区は見つかったが肝心な甘粛省が見つからない10分以上地図の山をひっくり返していると”何を探しているの?”という感じで女性店員が来てくれる。2つの地図を見せ”かんしゅくしょう”と言った(と思う)ところ彼女”ちょっと待って”という感じで探しに行ってくれる。すぐに甘粛省の地図を持ってもどってくる。目的の三つの地図入手。6元×3。ついでに道路地図をただ読み。西安〜宝鶏〜天水〜蘭州〜武威〜張えき〜敦煌〜トルファン〜ウルムチの距離をメモする。因みに西安〜ウルムチ間は2671km。途中、水も買ってタクシーのお世話になることもなく18:20ホテルにもどる。19:30ホテル発、楽しみの蘭州牛肉麺の夕食へ。バス15分でレストラン着。中華料理の麺が牛肉麺というメニュウ。ビールは五泉ビール(アルコール%4.0。)サービス2本の中の1本はよく冷えているがもう1本は冷え方不十分。もっと冷えたのぉおーー!とか言ってみるがどうも十分冷えたのは無いようだ。それでも仕方なく追加の10元のビール飲むかーーーという時に李さん重い袋を提げてテーブルに来る。外でよく冷えたビールを買ってきてくれたとのこと。こちらは昼食で飲んだ 金黄河 確かによく冷えている。これをいただく。牛肉麺、われわれが食べたのは細麺。牛肉は角切り、スープは薄味でベースは塩。何も言わないと日本のネギのかわりに香草が入っているが多くの人が香草抜きでたのむ。麺のコシが少ないことを除けば日本の塩ラーメンの味に近くておいしい。食事中にわれわれのテーブルのところで”麺つくり”の実演がある。コブシ二つ分くらいの塊を小さいテーブルの上でのばし、1)細麺 2)中麺 3)断面が△麺 4)平麺(=きしめんのかたち)をつくって見せてくれる。短時間でさっさとのばしてしまう、見事なものだ。21:05食事終了。ホテルへもどる。
  浅瀬通過にひやひやし、へい霊寺では石窟もともかく、奇峰の景色に圧倒された1日でした。
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